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HOME >> 今週の1枚, 写真集撮影秘話 >> 写真集撮影秘話「この森にたたずむ」

写真集撮影秘話「この森にたたずむ」

写真の無断コピー・転用は固くお断りします。

 写真集撮影秘話の第3回目は、本の表紙に使った「この森にたたずむ」です。

 「写真家として風景に対峙するには、二つの対極的なポジションがあるように思う。”出合い”と"予測"。前者は風景とのありのままの邂逅を受けとめること。対して後者は、理想の映像を思い描き、イメージに近い風景が現れる場所や時間を予測し、期待どおりになるのを待って(通って)撮ることだ。」これはある写真雑誌に載っていた文章だが、僕もまったくそのとおりと思っているので引用した。「"出合い"と"予測"」そのとおりと思う。

 そして、僕の撮影スタイルはどちらかと言えば"予測"が多い。現場に行って"出合い"撮るということも勿論あるが、基本的には事前に撮影イメージをプランし、それを撮るための下調べを行い、準備をして、自分がイメージした映像が目の前に現れるまで現場に通い続けるということをしている。

 この白谷雲水峡で撮ったヤクシカの写真も、偶然撮れたものではなく、事前にこの場所にヤクシカを入れて撮ろうと思って撮りに行った。しかし、この写真に限っては、偶然撮れたという言い方もできる。ややこしい書き方をしてしまったが、それには少し理由がある。

 僕は島内の土産物店にポストカードを卸して販売をお願いしている。ある日そこの担当者にこんなことを言われた。「白谷雲水峡の"もののけ"と呼ばれる森に、ヤクシカの入ったカードを作ってくれないか?」と。「その絵柄ならきっと売れるから」というのだ。

 「なんとも無茶なオーダーだなぁ」と最初は思ったが、「無茶」と決め付けてしまえばそれで終わり。それに、販売の最前線で直にエンドユーザーと触れている人の意見というのは貴重だ。写真家といえども霞を食べている訳ではない。自分が撮りたい写真と世の中が求めている写真、その両方に折り合いをつけながら、どの被写体にレンズを向けてゆくのか?ということを考える上で、こういった情報は貴重なのだ。翌日僕はカメラを背負って、白谷雲水峡へと向かった。

 時は3月半ば、朝方の白谷雲水峡はまだ寒かった。カメラを三脚に据え、あたりを見回す。当然ヤクシカはいない。ミソサザイがとてもいい声で鳴いていた。そんな風にして4時間ほどそこで粘った。じっとしていると凍えてしまいそうな気温なので、小刻みに小さな円を描くようにそのあたりをぐるぐる回ってみたりする。撮影の時間待ちはいつもこんな感じだ。

 9時半過ぎて、ぼつぼつ登山者が登ってくる時間になった。この場所は記念写真などでとても込み合うので、そうなったらここにカメラを構えていることはできない。そろそろ潮時かな?と撤収を考え始めたそのとき、なんとヤクシカが森の左奥から現れた。僕は目を疑ったが確かにヤクシカはそこにいる。落ち葉を食みながら、徐々にフレームの中に近づいてくるのだ。

 ISO800、F4.0の開放で1/15秒。この当時はCanon40Dだったので、ISOは800が限界。1/15秒でヤクシカが止まるだろうか?と内心ひやひやしながら1枚シャッターを切る。案の定ブレブレ。でもあきらめない、こんなチャンスは滅多に無いのだ。ヤクシカの動きに意識を集中させる。動きの止まる瞬間にシンクロさせてシャッターボタンを押す。そしていよいよ森の中心に近づいてきたそのとき、ヤクシカはそこで真っ直ぐに立ってこちらを伺いみた。

 後に妻が「モデル立ち」と評したが、まさにそんな感じ。前足を揃え、すっと立ち上がり真っ直ぐにこちらを見て動きを止めた。僕は静かにシャッターボタンを押し込んだ。

 こんなことが起こるのか?と思ったが、それは確かに僕の目ので起こっていた。予測したイメージがそのまま撮影初日に撮れたのだ。そしてこの写真は僕の出世作となる。駅貼りのポスターや雑誌の表紙、記念切手などに使われ、広告賞などもこの写真でとった。そしてこのスタイルは、その後の自分の撮影テーマの核になって行くのだ。だから、写真集の表紙はこの写真と決めていた。

 イメージすることの大切さ。イメージが引き寄せる力ということを深く考えさせられた撮影だった。

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