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HOME >> 今週の1枚, 写真集撮影秘話 >> 写真集撮影秘話「島へ To the Island」

写真集撮影秘話「島へ To the Island」

写真の無断コピー・転用は固くお断りします。


 写真集撮影秘話の第2回目は、この本のファーストカット、P5で使った「島へ To the Island」というタイトルをつけた「トビウオ」の写真について書きます。

 僕が屋久島に出合ったのは2003年11月の宮之浦岳登山だった。その後島へ撮影に通うようになり、撮り溜めた写真を使って故郷の長野県松本市のストリートギャラリーで小さな展示を行ったことがある。その写真を見たある人の感想は僕にとって意外なものだった。

 「屋久島って島でしょ?どうして海の写真が無いの?」

 それまでの僕にとっての屋久島は、山であり、森だった。そのことについてついぞ疑いを差し挟む余地などないと思い込んでいたのだが、その人の言葉は僕に新しい視点を与えてくれた。そうなのだ、屋久島は島なのだ。山や森ばかりが注目されるが、屋久島は海だって魅力的。いや、そこに海が加わるからこその屋久島なのではないのか?それ以後、海に対してどのように向き合うのか?色々思いを巡らせながら、僕は撮影プランの中に海パートを加えて行くことにした。

 そんなある日、屋久島はトビウオの水揚量日本一だということに気がついた。屋久島を、それも動物など生き物の写真を得意として撮っている写真家として、どうしてもそれは外せないと思うようになった。しかしどのようにしてトビウオを撮ったら良いのか?僕にはアイディアが無かった。漁船をチャーターするのか?どのように?一度知り合いの漁師さんに船に乗せて貰うか?そんなことを考えていたとき、僕はあるTV番組に目をとめた。

 2008年11月に放映されたNHKのダーウインが来た「トビウオ大飛行」がまさに屋久島のトビウオを扱ったものだったのだ。番組中、フェリー太陽のデッキからトビウオを撮影している姿が紹介されていた。この映像をヒントに、僕もフェリーのデッキからトビウオを撮影することにした。

 2009年の夏、口永良部島へ行くことになった僕はその行き帰りにフェリーの甲板からトビウオを狙った。最初D700に150-500のズームレンズをつけて手持ちで海を眺めていたが、一向にトビウオが飛ぶ気配が無い。そのうち腕が疲れてしまったので、カメラを三脚に据えて待つことにした。するとようやくトビウオが船の舳先から飛び出した。しかし実際に自分の目でみたそれはTVの画面で見たものとは大違い。ものすごく小さくしかも速い。とてもカメラで追えるようなものでは無いと思った。そういえば、TV番組の取材ウラ日記にも「野球のホームランボールを撮るより数倍難しい」というカメラマンのコメントが紹介されていた。

 しかしTVのカメラマンは撮っているのだ。僕に撮れないはずはない。僕はおおよトビウオが飛び出して来る場所に目星をつけ、ズームを150mm域にして待ち、トビウオが現れたら一気に500mm域までズーミングして追いかける作戦をとった。この方法で何カットかトビウオの写真を撮ることは撮った。しかし、TVのカメラマンは本当に良く撮ったものだと思う。取材ウラ日記にも書かれているが、トビウオは本当にいつ飛び出してくるのか分からない。それでいて本当に小さく速いので、何時間も集中力を切らさずに海面を注視していないとならないのだ。そしてちょっと集中力が途切れたその隙を狙うように飛び出したりする。

 加えて甲板の上は潮と風。人間もカメラも潮でビショビショになり、風に吹かれて体力を消耗する。そして揺れ。そういう中で集中力を切らさず海上にいつ飛び出してくるか分からない点を追うのはやってみると分かるのだが、本当にシンドイ。

 そして2010年の夏、またエラブへ行くことになり、僕はフェリーの甲板からもう一度トビウオを狙った。前年の反省を元に最初からカメラを三脚へ据え、スムーズにカメラを動かせるようにビデオ雲台を使うことにした。しかし相変わらずの潮と風。そして揺れ。加えてこの撮影は天気にも左右される。上空に雲が出ると海面はそれを反射して白く濁ってしまう。PLフィルタで海面反射を抑えているものの、本来はピーカンの青い空が望ましい。もちろんその方がシャッタースピードも稼げる。

 しかし自然はこちらの都合に合わせてはくれない。雲が沸き、海面は白く濁る。船の舳先は甲板へ向けて容赦なく潮を跳ね飛ばしてくる。またしてもカメラと自分は潮でビショビショ。機材はカバーで覆っているけど、やり切れたものではない。しかし「それでも撮るんだ」という強い気持ちが僕にこのカットを撮らせたと思っている。

 そのとき、いつもは背中を見せて船から離れるように飛び出してゆくトビウオが船の舳先へ向け、フェリーと併進する形になって前へ飛び出した。僕は一気にズーミングしたテレ端のフレームの中にトビウオを捉え、夢中でシャッターボタンを押した。カメラの背面液晶で確認したときから手ごたえを感じた会心のカット。そこにはトビウオの白い羽が美しく写っていた。

 写真集のファーストカットにどんな写真を持ってくるのか?写真集全体を一遍の物語として捉えた場合、そのことはとても重要な選択になる。しかし僕に迷いは無かった。ファーストカットはこのトビウオの写真と決めていた。この本には縦の糸として、海抜0mから1936mまでの標高差、横の糸として春夏秋冬、季節の移り変わりを織り込んだ。そういう意味で海抜0mのスタートはこの写真以外あり得なかったのだ。

 僕が初めて屋久島へ上陸したあの日。僕はフェリーの上から海上を滑空するトビウオを見て興奮した。あのときの興奮を、写真集のファーストカットへどうしても盛り込みたかったのだ。だからタイトルは「島へ To the Island」となった。もうこれしか無かったのだ。

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